神、恋に落ちる
「一回り以上も年下の俺に、頭を下げないとならないなんて」
「神…」

「でもさ、それってお前の親父がやってきた悪どいことのしっぺ返しだろ?
俺には関係ねぇんだよ!
それにお前の会社、元々もう終わってる。
そんな会社、もういらねぇ…!」

「ですが!神のお祖父様だったら━━━━━━」

「だから!じぃちゃんは、関係ねぇの!!
いつまでも、じぃちゃんにしがみつくな!!
今、神石の名を背負ってるのは“この俺”だ!」

「しかし、神もその悪どいことを沢山━━━━」
「フッ…!!だからお前は、そうなんだよ!」
「え?」
「いいか?お前と俺では、頭の造りが違う。
この世の中、悪どい事をしてない人間はいない。
大事なのは、それを悪どいと思わせないこと、見せないことだ。
お前はお前の親父や、俺のじぃちゃんにしがみついて自分の力で上手く立ち回らないからこんなことになるんだ。こうなることなんて、見えていたはずだ。
それを親父のせいにして胡座をかくからこんなことになるんだよ!」
「………」
「早く、消えろ!
虫螻はもういらない。潰されて終わりだ」

三吉が肩を落とし、部屋を出ると襖前に白羽がいた。

「あ…あの……」
「君も気の毒だな……神なんかの妻なんて……」
三吉はすれ違いながら、ボソッと呟いて去っていった。
「━━━━━!!!」

「白羽!!早く!俺を一人にしないで!」
中から呼ばれ、慌てて入った白羽。

命の隣に座ると、すぐに押し倒された。
「え?ちょっ…命さん!?」
「白羽、声…我慢してね…!
生憎、ここは防音じゃないから……!」
そう言って、口唇を塞がれた。

「ンンン……はぁ…んぁ…」
そのまま首や鎖骨に命の口唇が落ちていく。

「や……命…さ…やめ…んんっ…」
「ほら、声…我慢しないと聞かれちゃうよ?」
「んーんんっ…!!」
慌てて、手で口元を塞ぐ白羽。

「フフ…可愛い……必死で我慢してる白羽、可愛すぎ!
スッゴい興奮する……!
ほら、白羽。一つになろうね………!
ちゃーんと、声…我慢するんだよ?
白羽の可愛い声、聞かれたくないから!」
「んーんーんー!」
口元を塞いだまま、頭を横に振る白羽。

(だめ…今、そんな……)
そんな思いで必死に頭を横に振り、目で訴える白羽。

「はぁ…可愛い…可愛すぎる……何これ…白羽が可愛すぎて、俺…おかしくなる……」
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