青い時間はきみの中
「っ」


ぼろ、と泣きそうになって、慌ててトイレに駆け込んだ。


実感が湧かないと言いながら、青くんの言葉は、ほとんどが過去形だった。潔く過去形だった。

わたしなんて、今になって気づくくらいなのに。


ね、青くん。青木くん。


朝、空が青い時間、あなたの声を聞くのが好きでした。あなたの朝の放送を聞いてから一日を始めるのが、好きでした。


今日も好きだなって。

今日もがんばろうって。

明日も聞きたいなって。


思うのに。おもう、のに。


もう聞くことはできない。毎日を穏やかに始められた三年間と、お別れをしなくてはいけない。


インタビューで声が聞けたことが救いで、悲しくて、でも絶対にうれしいのに、わたしのわがままを、余計に浮き彫りにする。


朝早く来て、放送を聞いてから帰るのが、好きだった。


わたしの三年間は、まるごと青くんに付随していた。
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