青い時間はきみの中
なんとか受験が終わり、生活が落ち着くと、お昼の時間が賑やかになり始めた。


後輩さんたちが、お昼に流していた音楽の代わりに、卒業生インタビューを始めたからだ。


毎年この時期は、卒業に向けて、三年生のインタビューの録音を流す。一日五人ずつ、何ヶ月もかけて全員分流していく。

去年は青くんが取りまとめていたっけ。


今年のお題は、「三年間の思い出を教えてください。※一人一分まで!」である。


『こんにちは、青木です』


今日は、青くんだ。やっぱりいい声だなー。


『僕は三年間、放送部に所属していました。こうして後輩がインタビューに来てくれて、ようやく、もう卒業するんだなと思いましたが、まだあまり実感が湧いていません』


分かる。わたしも湧かない。


『放送部はとにかく楽しかったです。僕が毎回青木ですって名乗るので、名字で青いイメージがあるらしくて、みんなから青って呼ばれてました』

『朝の放送では、一年生のときに提案した曲を採用してもらって、まだそれが使われています。長く使われるくらいぴったりの曲を選べたのは、他のひとに一緒に曲を選んでもらったからだなって思ってます。意見をもらってありがたかったです』

『二年生の一番の思い出は、スポーツ大会の放送です。準備を重ねて、大きなトラブルなく終わることができました。部長として大きな仕事がひとつ終わって、すごくほっとしたのを覚えています。実況も盛り上がってよかったです』

『三年間放送してきて楽しかったです。ありがとうございました』


インタビューは、ぴったり一分できっちり終わった。


さすが放送部。あ、元放送部か。


自分の思いつきに、ひゅうと変な呼吸をしてしまった。


……そうだ、元、だ。
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