クラスの男子が全員、元カレだった件




西棟の3階、資料室の前には、「キミトトクラブ」の札がかかっていた。


ドアを開けると、カメラや本が並んだ棚に四方を囲まれた部屋に、机やソファー、シンク、カセットコンロもあった。


そのソファーに、三島志麻は本を読んで座っていて、私を見るなり、本をゆっくりと閉じた。


「狭いけど」


と言って、棚の間をぬって、私を手招きする。


連れられて奥へ行くと、遮光カーテンが張り巡らされたもう一つの部屋があって、周りに机や椅子が並ぶ中、上下に動く黒板の前に、大きなスクリーンが置かれていた。


「適当に座ってくれ」


私は後ろの方の席に座った。


「実は今からお前にこれを観てもらいたいんだ」


そう言って、三島志麻は部屋の電気を消し、部屋の中央に置かれたホームシアターのスイッチを入れた。



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