クラスの男子が全員、元カレだった件
それでも私は約束してしまった。
「明日の夕食の時、春乃も同じ時間に行くので、その時に、その、高橋……さん? に春乃を紹介してくれませんか?」
そう言って、ピンクの耳した姿で頭を下げられたものだから、私は断れなかった。
断れなかったけど、抵抗はした。
「本当にいいの? あいつバカだよ? こないだなんか、『ウィーフィー買いたい』って言ってたから、『それ何?』って聞いたら、『それがあるとスマホから波動が出るんだよ』って言ってたし」
「それってWi-Fiのことですか?」
「春乃ちゃん、よくわかったね」
「だって春乃もWi-Fiのこと最初は『ウィーフィー』って呼んでましたし。親近感あって、ますます好感持てます!」
そう言って、顔を赤らめて、持っていたうさぎのぬいぐるみに顔を埋めるものだから、春乃ちゃんは本当に高橋隆人が好きなんだろうなって思った。
「あ、ちゃんとフィーはお支払いしますから!」
「いいよ、大丈夫。とりあえず、明日は平日だけど、私も、高橋隆人も学校休む気でいるから、そうだね……昼食の時にでも高橋隆人に聞いてみるね」