クラスの男子が全員、元カレだった件
そして、運よく隣に高橋隆人が座ったわけで。
「ねえ、今日の夕食のことなんだけど」
「あ? 夕食? お前バカだな。昼食の時にもう夕食の話すんのか?」
こいつにバカって言われるなんて、心外だ。頭を叩いてやろうかとも思ったけど、ここは春乃ちゃんのためにぐっと堪える。
「そ、そうなんだよねー 私、食い意地張っちゃってるからさ」
「また太るぞ?」
またって何よ! 頭叩くなんて生易しいことせず、いっそ殺してしまおうか。
「とにかく。今日の夕食に紹介したい人いるから、付き合ってくれない?」
と言って、「付き合ってくれない?」が「もう一度付き合って」って頼んでるみたいに思えてきて、春乃ちゃんじゃないけど、顔に熱を帯びてしまう。
「紹介したい人? それって誰?」
「そ、それは夕食の時に話すから」
「なんだよ、それ!」と言って、高橋隆人が私の右手首を掴んできて、箸と、挟んでいたエビマヨが絨毯の上に落ちた。
「お前は……! ああ! わっかんねえ!」
と言って、すぐ私から手を放して、今度は自分の頭をガシガシと、乱暴なシャンプーのように、かきむしった。