クラスの男子が全員、元カレだった件




穏やかな春の陽気。すっかり散った桜の木の下で、元カレと二人っきりの休日。


そんなのも、たまには悪くない。


二人の最悪だった思い出の場所は、今最高の思い出の場所へとアップデートされて、来年はきっと。私たちはどうなっているかわからないけど、来年はきっと……。


「それにしても」と私は重松茂が持ってきたお茶を飲みながら言った。


「その格好で竹の皮に包まれたおにぎり持ってると、いよいよ戦時中だね」


「だね。アメリカ兵士にもなれるけど、どっちがいい?」


「どっちも嫌だ」


今度はお返しに、服を選んであげよう。


そんなことを思いながら、次の休日を心待ちにしている私の心は、恋をしている乙女のようだった。



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