【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 イブライムはタキシードのポケットからハンカチを取り出し、胸元とドレスのそれをさっと拭う。アイリーンはそのハンカチを取り返して、イブライムの髪の毛を拭いた。そしてハンカチをイブライムに返す。

「これではもう、戻れませんね」
 アイリーンは笑いながら言う。いい口実ができた。帰るための口実。
「リーン、ごめんなさい」

「エル。気にしないで。私、そろそろ帰りたかったの。ありがとう、と言うのも変だけれど、いいきっかけができたわ」

「エルも少しは反省したらどうだ」

「反省してるわよ。でもね、あなたがリーンにちょっかい出し過ぎなの。だから見過ごせないの」

「ちょっかいって」

「本当のことでしょ? 今日だって部長にリーンのエスコートを頼んだはずなのに、なぜかあなたになってるし。今だって、会長に頼まれてリーンの様子を見に来たら、あなたがいるし。どうしてリーンにまとわりつくわけ?」

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