【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 だけど、アイリーンの腐女子ぶりは止まらない。
 なんとか独自ルートで隣国の甘美小説の月雲シリーズを入手した。さらに、これを他の三人に普及するために翻訳しようと思ったが挫折し、要点だけをまとめたまとめ本を作ってしまった。しかもイラスト付きで。
 それも受け入れてくれた三人。
「ヤバイ、かっこいい」
「まさしくイメージ通りのキャラ」
「このカップリング、理想すぎる」
 というのも、この世界の本には挿絵が無い。ということはもちろん、マンガも無い。ということはもちろん、同人誌も無い。
 物語にイラストがつき、かつ、わかりやすくまとめられているというのは、とても斬新だったらしい。
 さらに、こんなにも身内の賞賛を得てしまい、もっと調子にのるアイリーン。これはもうもっと描くしかない。前世では年に一回から二回、イベントと称していろいろ描いていた。何しろ、二次創作、同人誌は得意中の得意である(アイリーンの前世が)。
 まとめだけでなく、ちょっと月雲シリーズの詳細も三人に教えるために、イラスト付きでいろいろ描いてしまった。どんどんと内容の詳細に触れていくにつれ、他の三人も月雲シリーズにのめり込んだ。だが、隣国の言葉で書いてあるため、そうやすやすと読むこともできないし、理解することも難しい。そうなるとアイリーンのイラストと簡易的な翻訳が頼りだった。
 そうやって隣国の物語に沼り、布教活動をしていたアイリーンは、隣国についてもっと詳しく調べてみたくなった。隣国は、このプーランジェと違い恋愛についても様々な形態で容認されているが、その文化についても寛大であった。つまり、隣国にいけば他のビーでエルな本がもっと手に入るのでは、とそう思ったのである。
 アイリーンにとって、好きなものを極めるために国境を超えることは怖くない。それが好きなものの力なのだ。

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