【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
「久しぶりって、ノエルは帰っていないのですか?」

「ええ。基本的にはずっと寮。向こうから呼ばれない限りは、私からは帰らないから」
 そういうもん、なのだろうか。
「結局、私がこの学院に通って、寮で生活しているのも。未来の旦那様探しなのよ。貴族様との出会いの場っていったら、学院になるから」

「それで素敵な旦那様候補は見つかりましたか?」

「どうかしら。イブが近くにいる限り、無理だと思わない?」
 そこでノエルが苦笑を浮かべていた。多分、ジョアキナのことを言っているのだろう、と思う。
 どこかにいると思われる護衛に見守られながら、二人はアディの自宅へと向かう。だが徒歩ではなく、馬車で。これもノエルの方で準備していたらしい。
 馬車に乗ると、この国へ初めて来た日のことを思い出す。あのときは、金色の田んぼが眩しかった。今はすっかり稲刈りも終わり、乾燥も終わり、その田んぼは乾いた土に覆われている。

「叔父はね、ちょっとはずれに住んでいるのよ」
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