【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
『プーランジェとアスカリッドが協力して一つのことを成し遂げるということは、今後の互いの国の文化発展に貢献できるのではないか』
 多分、そんなこと。しかもそれは陛下のお言葉。
 そりゃ、アイリーンとしてはビーでエルな文化をもっと手軽に自国で楽しめるようにしたいと思っていた。だが、それを国として後押しされたら、と思うと悩む。あまりにも有名になりすぎると、冷やかす者が出てくるからだ。ひっそりと静かに、水面下で広めたい。じわじわと、シミが広がっていくように。つまり、あまり目立ちすぎてもいけない、ということか。もしくは何かカモフラージュを作るか。

 アイリーンは悩みながらアデライートの屋敷を後にした。後三日で学院も再開する。いろんなことを言い訳にして勉学をおろそかにするわけにはいかない。馬車の中で、遠い眼をするアイリーンをノエルは心配そうに見つめていた。アデライードの仕事に巻き込んでしまったことを、彼女は少し後悔していた。アイリーンだけ違う世界に行ってしまったようで。自分にできることが無いだろうか、とノエルは考えている。

「エル」
 突然、アイリーンが口を開いた。
「エルのオススメの甘美小説って他にもある? アディ先生以外で。しかも同性ではなく異性の甘美がいいかも」

「どうしたの? 急に」

「私、やっぱりアスカリッドの甘美を甘美としてプーランジェに広めたい。だから、甘美の同性異性問わず読んでみようと思ったの。アスカリッドの甘美は素晴らしいわ」

「うん、わかった。私だって同性ばっかり読んでるわけじゃないのよ」
 そこでクスっと笑うと、アイリーンも釣られて笑った。そしてノエルは彼女の役に立てることを少し嬉しく思った。
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