【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 笑うと同時にため息をつきたくなった。

「だから、オレとデートをして欲しい」

「わかりました。約束ですから」
 ここまできてアイリーンだって約束を破るようなことはしない。約束は約束。でも、イブライムとデートをしたいような、したくないような、微妙な気持ちだった。
 ため息をつきたくなったのも、イブライムと出掛けるのが嫌だから、ではない。どこにいるかわからない護衛だか警備だかわからないような人に見られるのが嫌だから。
 アイリーンが無表情でお茶を飲む様子を、イブライムは心配そうに見ている。
「もしかして、オレとのデートは嫌か?」

「いえ。それは不思議なことに嫌ではありません。ですが」

「が?」

「その辺にいらっしゃるという護衛の方とかが気になります。だから、嫌です」
 アイリーンは両手で顔を覆った。
「だって。その方には見られているわけですよね。その私たちの……」

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