【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 クスクスと教室に笑いが染みだしてきたのがわかる。ちょっと、恥ずかしい。アイリーンはいつもの笑顔を作ることができなかった。

「アイリーン、はじめて。ノエル・アスカリッド。よろすく」
 と、いきなり立ち上がってプーランジェの言葉で自己紹介を始めた生徒がいた。もちろん、ノエル。

「アイリーンさん、私のプーランジェの言葉はいかがでしたか?」 
 そこでノエルはアイリーンに向かって微笑んだ。それから表情を一掃し、能面のような顔で続ける。
「あなたたち、アイリーンさんのようにプーランジェの言葉で自己紹介できますか? できないでしょう? それにも関わらず、人の少しの失敗を笑うなんて、恥ずかしいとは思わないのですか? それでもあなたたちはクラス一の生徒ですか」
 もちろん、ノエルの言葉に反論できる者は誰もいない。つまりこのクラスのプーランジェへの語学力がそれだけのもの、ということなのだろうか。

「そうですね」とノエルの言葉の続きをリンダが奪う。「クラス一の生徒として恥じないような行動を心掛けてください。アイリーンさんの席は、一番後ろの空いている席です」

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