【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 では、そんな状況のなかで誰がビーエルという言葉を使い出したか。
 犯人はアイリーン以外、いない。

 そのビーエルの先駆者であるアイリーンは、一口お茶を飲んだ。それから、ゆっくりと口を開く。
「まず、アスカリッドのビーエル本を片っ端から読んできます」
 うんうん、と三人は首を縦に振っている。
「そして、あわよくば。アスカリッドのビーエル本を翻訳し、このプーランジェの書店でも手軽に買えるようにする、そしてビーエルという一つのジャンルをこの国でも確立する。それが、私の留学における最終目標です」
 左手を軽く握り、それを胸元に置くアイリーン。
 エレナからパチパチパチと乾いた拍手が起こった。他の二人も慌ててパチパチと手を叩く。

「素晴らしいです、リーン様」
 エレナが言う。「リーン様と離れ離れになってしまうのは寂しいですが、リーン様の目標のためにも応援いたします。リーン様がこちらに戻ってきたときには、私にもお手伝いをさせてください」

「もちろんよ、エレナ。手紙を書くわ」

「リーン様。私も、リーン様を応援しております。戻ってきたときには、私もお手伝いいたします」

「ありがとう、ジジ」

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