約束の指にキスして。
『良かった……生きてた。瑛梨。』

『………。』

このコロンの匂い…

『健司……?』

キツイ鎖の中から頭を上げると、健司がアタシの首筋に顔を埋めていた。

健司??

健司が持っていた花が、床に散っている。
真っ白な、カサブランカ。

花の匂いが病室に充満している。
『健司…健司、ごめんね??ごめんなさい……』

『なに謝ってんだよ。悪いのは…俺の方なんだ。』

『ぅうん…ううん。健司、健司……』

約1ヶ月ぶりの健司の匂いに、腕に、涙が込み上げてくる。
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