約束の指にキスして。

かわる。

『匡ちゃーん。アタシ、今日から一人で学校行くね??』

退院してから初めての登校日。
洗面所にいる匡ちゃんを覗き込んで、告げる。
匡ちゃんはちょうど髪をセットしていた途中で、その横にいたお兄ちゃんもアタシを見た。
お兄ちゃんの口から歯ブラシが落ちる。

『だって、お前……』

『良いから、良。』

匡ちゃんは、優しい笑顔でアタシに微笑んだ。

『わかった。きおつけてな。』

『ぅん、ありがとぉ。じゃあね。いってきまーす。』

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