約束の指にキスして。
『…9月だね。』

デジタル時計の日付が9月に変わっている。
私は、思わず小指を握りしめてしまった。

『やっと気付いた?』

ニコリと微笑んだ桔平が私の髪を耳にかけて、そっと耳たぶにキスを落とした。

『ハッピーバースディ、瑛梨。』
『あ…。』

桔平に言われてやっと気付く。
そうだ。
9月1日は、私の誕生日だった。

『ね。穴開けない?』

『え?』

『瑛梨開けたいって言ってたじゃん、最近。だから…』

『桔平が開けてくれるの?』

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