キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
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放課後の屋上は、青柳先輩たち以外誰もいなかった。
「なんで飲み物を買いに行っただけでサリーを拾ってんだよ」
「どうりで遅いと思った」
「たまたま会ったの!つーか、お前ら、冷たいもの頼みすぎ」
日南先輩の手から零れ落ちるようにペットボトルがばら撒かれた。
「落とすなよー」と文句を垂れながら、それぞれペットボトルを取る姿が微笑ましい。
相変わらず賑やか。
何か特別なことをしているわけでもなく……ただ一緒にいて、楽しそうに話している。
本当に仲が良いんだな、と毎回思う。
ふと、私の前にペットボトルが差し出された。
「どうぞ」と日南先輩。
「え、でもこれ……日南先輩のじゃ」
「とりあえず買っただけだから。だいぶ屋上も冷えてきたし、カイロ代わりに使って」
他のみんなは冷えた紅茶やジュースを手に取る中、それだけは温かいお茶だった。
受け取った瞬間にじんわりと手が温まる。
……あったかい。