キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜

***


放課後の屋上は、青柳先輩たち以外誰もいなかった。


「なんで飲み物を買いに行っただけでサリーを拾ってんだよ」

「どうりで遅いと思った」

「たまたま会ったの!つーか、お前ら、冷たいもの頼みすぎ」


日南先輩の手から零れ落ちるようにペットボトルがばら撒かれた。


「落とすなよー」と文句を垂れながら、それぞれペットボトルを取る姿が微笑ましい。


相変わらず賑やか。

何か特別なことをしているわけでもなく……ただ一緒にいて、楽しそうに話している。

本当に仲が良いんだな、と毎回思う。



ふと、私の前にペットボトルが差し出された。

「どうぞ」と日南先輩。


「え、でもこれ……日南先輩のじゃ」

「とりあえず買っただけだから。だいぶ屋上も冷えてきたし、カイロ代わりに使って」


他のみんなは冷えた紅茶やジュースを手に取る中、それだけは温かいお茶だった。


受け取った瞬間にじんわりと手が温まる。

……あったかい。

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