キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
冬に向かって気温が落ち始めている時期。
屋上も寒くなってきた。
ペットボトルのお茶よりも日南先輩の気遣いに、心が温かくなった。
「日南はそういうことできるくせに、なーんで報われねぇのかな」
私たちのやり取りを見ていた光石先輩が口を開いた。
……実際には、マスクをしていて、口が開いているところは見えないんだけど。
は……?と怪訝な顔をする日南先輩の代わりに、青柳先輩が答える。
「そりゃ関係ねぇからだろ。優しくしたって報われるわけじゃねぇし」
「やだ!そんな世の中、俺やだよ!日南だけでもいいから報われてくれ……!」
泣き出すように声を上げる光石先輩。
……ど、どうしたんだろう。
情緒不安定……?
「みっつ、失恋したの」
「失恋……?」
「失恋じゃねぇ!ちょっと気になってただけで、これから頑張ろうとしていたところだったんだよ!……くそ!金持ちの彼氏作りやがって」
「……っ!」
光石先輩、私と一緒……!