キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜

「光石先輩!私、気持ちわかります……!」


思わず光石先輩の両手を取って、縋る気持ちで目を合わせた。たぶんこれは同情。

お仲間だ……!


「え、なに?わかるって……うお、日南待て!違う!これは不可抗力だ!」


私から視線を外し、狼狽える光石先輩。

どうしたんだろう……と視線を追うと、メラメラと炎を背負う日南先輩がいた。

………怒ってる?


反射的に手を離した。

何か気に障ることでもしたのでしょうか……?



「……それで。“気持ちがわかる”ってどういうこと?」


元の位置に戻ると、青柳先輩がニコニコ笑顔で訊いてきた。

……楽しむようなその笑顔が、ちょっと怖い。


そして、隣に座る日南先輩はまだ光石先輩を睨んでいる。


おかしな状況の中で、私は答えた。


「……私も、失恋しまして」


「「……え?」」


「あ、いや……まだ好きではなかったので、失恋って言うのもおかしいんですけど。気になっていた人が、友達と付き合うことになりまして……」

「「…………」」


……?

なぜか場が沈黙してしまった。
まるで時間が止まったみたい……。


< 105 / 273 >

この作品をシェア

pagetop