キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
「光石先輩!私、気持ちわかります……!」
思わず光石先輩の両手を取って、縋る気持ちで目を合わせた。たぶんこれは同情。
お仲間だ……!
「え、なに?わかるって……うお、日南待て!違う!これは不可抗力だ!」
私から視線を外し、狼狽える光石先輩。
どうしたんだろう……と視線を追うと、メラメラと炎を背負う日南先輩がいた。
………怒ってる?
反射的に手を離した。
何か気に障ることでもしたのでしょうか……?
「……それで。“気持ちがわかる”ってどういうこと?」
元の位置に戻ると、青柳先輩がニコニコ笑顔で訊いてきた。
……楽しむようなその笑顔が、ちょっと怖い。
そして、隣に座る日南先輩はまだ光石先輩を睨んでいる。
おかしな状況の中で、私は答えた。
「……私も、失恋しまして」
「「……え?」」
「あ、いや……まだ好きではなかったので、失恋って言うのもおかしいんですけど。気になっていた人が、友達と付き合うことになりまして……」
「「…………」」
……?
なぜか場が沈黙してしまった。
まるで時間が止まったみたい……。