キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜

聞き間違い、じゃなかった……。


……好き?

日南先輩が……、私を、好き……?


「俺は真面目じゃないけど、裏なんてない。本気だから」


喧騒をかき分けて、信じられない言葉が次々と届く。


真面目……?裏……?

まるでみんなに宣言するような言い方。


真面目じゃないのは知ってる。バイトで学校をサボって出席日数が足りなくなっちゃうんだもんね。


裏がないのも知ってるよ。
いつだってまっすぐ言葉を伝えてくれる。


本気なのも伝わる。日南先輩は、冗談でそんなことを言う人じゃない。


ずっと日南先輩を見てきたんだ。


だから────


日南先輩が私を好きなんてあり得ない。
だって、日南先輩はみんなの日南先輩。
私が特別になれるわけがない。


「好き」って言葉1つで、それらの考えが簡単に打ち砕かれる。


私は、日南先輩の本気を否定しない。


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