キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜

涙が溢れそうになって、手で顔を覆い隠す。

だけど、不意に温もりが頭に乗っかって、耐えきれなかったひと粒の雫が紙上の文字を滲ませた。


抑えられない感情がとめどなく押し寄せる。


むり。
もうおそい。


溢れ出す想いを止められない。



あやすように私の頭を撫でるその手は、知らない男の人の手。


「坂下は、万桜くんのことが好きなの?」


星野くんのぎこちない手つきに、少しだけ安心感を覚える。


こくりと頷けば、撫でる手が止まって離れた。


「俺の言葉じゃなんの解決にもならないだろうけど、でも、万桜くんが坂下を嫌いになることは絶対ないと思う」


それは断言に近かった。

まるで自分のことのように言いきる星野くん。


どうしてそこまではっきり信じられるのだろう……?


目尻に溜まった涙を拭いながら顔を上げると、濁りのないダークブラウンの瞳と視線がぶつかった。


どうして?──と言葉にはできなかったけど、私が言いたいことを彼は理解したみたいで、ふっと口元を緩めた。

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