キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
しばらく話していて──ふと。
ピンポーンと遠くからチャイム音が聞こえた。
電話の向こう……日南先輩がいる部屋に誰か来たみたい。
『なんかまたうるさくなった』
チャイムが鳴った直後、周りの声がまた大きくなって、日南先輩が呆れ声を漏らす。
『いえーい!お待たせー!』
『遊びに来たよー!』
……!?
唐突に耳に届いたのは、どう考えても男子とは思えない甲高い声。
頑張って裏声を出せばそう聞こえるかもしれないけれど、機械を通してもわかるそれは、女子の声だった。
しかも、1人じゃなくて数人。
『は?なんで女子がいるの?』
『俺らが呼んだ』
『……サリーちゃん、ごめん。ちょっと待ってて』
日南先輩の声が聞こえなくなって……私は、無意識に電話を切るボタンを押していた。