キミに溺れる。〜ピンク髪の先輩と派手色な恋を〜
「……っ……、ちゃん……。……彩織!」
「──っ!」
「やっと起きた。さっちゃん、遅れるわよ」
「遅れるって……えっ?」
「学校。早く支度しなさい」
パッと目を開けたら、朝になっていた。
うそ……!私、あのまま寝ちゃったんだ。
日南先輩と電話してたら女の子の声が聞こえてきて、思わず電話を切って……ぐるぐるモヤモヤしてる間に、寝ちゃった。
「え!?もうこんな時間!なんでもっと早く起こしてくれなかったの……!」
部屋の時計を見ると、あと10分で出る時間だった。
「起こしたわよ」
「うわーん。間に合うかなっ」
今は昨日のことより準備が先決。
省けるものは省いて、急ぐ!
──そんな私は、自分が寝坊する原因になった物の存在を忘れていた。
アラームをセットしておかなかったスマホ。
電源を切ったままのそれを、持たずに家を出てしまった。