小説のタイトルが長くなる理由
「相談があるんだ、新作のラブコメのタイトルを『愛』にしようと思ってるだけど、どう思う?」
「それだと、どういうラブコメか分からないじゃないか! それで内容は?」

 新作ラブコメのタイトルの相談する前田勇作。シンプルなタイトルに少し不安なのだ。そこで、親友の阿刀田健太に悩みを打ち明けていた。

「登場人物に、悪役令嬢が出てくるんだけど……」
「ん? それなら、『悪役令嬢・愛』とかでインパクトつけた方がいいと思うぞ」
「いや、悪役令嬢は恋仲の二人を邪魔するんだよ」
「なるほど……。『悪役令嬢が二人の愛を引き裂く』とかなら、分かりやすいかと」
「実は……その恋仲の二人が……ダブル不倫という設定にしてあるんだ」
「ざ、斬新な設定だね。そかそか、『悪役令嬢がダブル不倫ている二人の仲を引き裂き愛を奪う』とかは?」
「男主人公なんだけど……悪役令嬢の旦那をしているんだ」
「わかった、それなら『旦那を寝盗られた悪役令嬢がダブル不倫と気が付き二人の仲を憎しみで引き裂く殺し愛』。これだね」
「それが、言い難いんだけど……」

 親友に打ち明ける勇気が消えてしまった。だが、優しき健太の瞳に見つめられると、恥じらいながらも、本当の事を話したのだ。

「実は……。これ、俺の嫁を題材にした小説なんだ……」

 作家 前田勇作が世に出した最後の作品……それは、『旦那を寝盗られた悪役令嬢がダブル不倫と気が付き二人の仲を憎しみで引き裂く殺し愛。実は作者の実体験であり発売後に行方不明となってしまい事件は迷宮入り』。
 ニュースで取り上げられ、数百万部を売上を記録する。旦那の失踪は嫁の仕業と噂され、操作の手が及んでしまう。だが、証拠がなく嫁は失踪と無関係と結論付けられた。
 しかし……悪役令嬢こと勇作の嫁の口元はにやけていた。それが印税でなのか、捜査線上から外れたからなのかは、本人しか知らなかったのである。
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