ちょうどいいので結婚します
石川多華子はこの日も一柳功至に呼び止められ、食事に付き合う羽目になった。
多華子と功至は同い年であったため、馬が合ったのだ。それに加え、功至は行き場のない感情を多華子にぶつけるのがいつもの風景だった。
「かっわいい。かっわいい。ねえ、かっわいかったあ、今日も俺の千幸ちゃん」
会社での物静かなと男とは別人に成り下がった功至を多華子はいつも通り適当な相槌でやりすごしていた。
「良かったわね」
「俺の渡したチョコ見て、ちょっと笑ったの。好きなんだよ、あのチョコ。俺もう箱買いする。あのチョコ箱で買う」
功至は思い出しては嬉しそうに両手で顔を覆った。
「……賞味期限長いだろうけど、飽きるだろうから止めたら? ていうか箱買いということは普通のコンビニチョコもあげたんだ?」
「だって、普通を装わないと、気持ちがバレちゃったらどうするんだよ」
「……告白するんじゃないの? 小宮山さんに」
「そこまで急には無理。まずは食事から」
「はあ。で、誘ったの?」
「……まだ。誘おうとして無理だった記録更新中」
「あはは、だっさ。そんなこと言ってたら天文学的数字になるんじゃない?」
多華子がからかうと功至は真顔になった。
「いや、今のところ1000回くらいだし、1年で500回計算だろ? 俺があと70年生きたとして、500×70で、全然数えられ……」
多華子は功至をジロリと睨み、ため息を吐いた。
多華子と功至は同い年であったため、馬が合ったのだ。それに加え、功至は行き場のない感情を多華子にぶつけるのがいつもの風景だった。
「かっわいい。かっわいい。ねえ、かっわいかったあ、今日も俺の千幸ちゃん」
会社での物静かなと男とは別人に成り下がった功至を多華子はいつも通り適当な相槌でやりすごしていた。
「良かったわね」
「俺の渡したチョコ見て、ちょっと笑ったの。好きなんだよ、あのチョコ。俺もう箱買いする。あのチョコ箱で買う」
功至は思い出しては嬉しそうに両手で顔を覆った。
「……賞味期限長いだろうけど、飽きるだろうから止めたら? ていうか箱買いということは普通のコンビニチョコもあげたんだ?」
「だって、普通を装わないと、気持ちがバレちゃったらどうするんだよ」
「……告白するんじゃないの? 小宮山さんに」
「そこまで急には無理。まずは食事から」
「はあ。で、誘ったの?」
「……まだ。誘おうとして無理だった記録更新中」
「あはは、だっさ。そんなこと言ってたら天文学的数字になるんじゃない?」
多華子がからかうと功至は真顔になった。
「いや、今のところ1000回くらいだし、1年で500回計算だろ? 俺があと70年生きたとして、500×70で、全然数えられ……」
多華子は功至をジロリと睨み、ため息を吐いた。