雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
「着いたぞ」
車を降りて、遅れないようについて行き、担当の人に説明している神崎さんの横に座って話を聞いていた。
「それでですね、今後のスケジュールについてですが・・・」
神崎さんが資料の中から、説明する書面を探していた。
手元の資料を探した後、一瞬、私の顔を見た。
資料の方に目を向けると、確か、スケジュールが書いた書類があったはず・・・
もしかして、忘れた?
私の顔が曇ったのを悟った神崎さんは
「今後のスケジュールについてですが、私が申し上げますご提案内容を、ご一緒に確認をお願いできますでしょうか」
神崎さんが手帳を開けると、先方の担当者も手帳を開き、神崎さんは内容を先方と確認しながら日程を調整していた。
「今お話したスケジュールは、後ほどメールでお送りします。では、引き続き宜しくお願いします」
神崎さんの横で私は頭を下げて、神崎さんの後について歩き、車に乗りこんだ。

「神崎さん、本当にすみません!」
神崎さんは、スケジュールを完璧に頭に叩き込んでいた。
だから今回は何事も無く済んだけど、他の人ならどうなっていた事か・・・
私は、今回はどれだけ怒られるんだろうと覚悟した。
神崎さんは頭を下げたままの私に向かって
「俺が頼んで、朝に確認しなかったのが、悪かったんだ。気にするな」
「えっ?」
「俺も色々と失敗してきた。先輩にも沢山助けてもらったしな」
そう言いながら、運転を始めた。
「だから、気にするな」
意外な言葉に私は目を丸くしていた。
「まぁ、俺の場合、朝比奈には仕事以外でも振り回されてるけどな」
「そ、それは・・・すみません」
やっぱり何か言われると思った。
でも・・・
その後の笑顔に、何故か惹きつけられた。
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