雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
神崎さんは私の部屋着姿にも目もくれず、部屋に入ってきた。
「じゃあ、俺、シャワー入るから、覗くなよ」
「の、覗きませんよ!」
私は、シャワーの音を聞くと、どきどきするからイヤホンをして、音楽を聴いていた。
しばらくすると、神崎さんが出て来て、その姿に目を奪われた。
まだ乾ききっていない無造作な髪型で、ラフな服装が、いつもと違う空気に纏われて、胸の鼓動が騒がしくなった。
私、何ときめいてるよ。相手は神崎さんだよ。
それでも、男の人とこんなシチュエーションになることが初めてで、どきどきが止まらず、直ぐに目をそらした。
「なぁ、朝比奈」
「は、はい」
「俺、ソファで寝るから。お前早く寝ろよ」
「神崎さん、私の先輩ですから、後輩はソファで寝ます」
「俺、そういうの嫌いなんだわ。それに朝比奈、寝相悪そうだし。ソファで寝たら夜中落ちてうるさい」
「し、失礼ですよ。私、寝相はいいんですから」
「今、寝相を教えてくれる人いるの?例えば、水森とか」
「ち、違いますし、いません!」
「だったら寝相がいいかなんて、分からないだろ?」
「まぁ、言われればそうですけど・・・じゃあ、遠慮無くベッドで寝ますから」
どうせ、教えてくれる人はいませんよ。
そう思いながら、横になって目を閉じると直ぐに眠りについてしまった。
< 22 / 96 >

この作品をシェア

pagetop