雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
【淡い思い出は、危険な香り】
月曜日になり、各支社から、担当の人が集まって来た。
いつもは支社長や管理職の人が多かったけど、今回、初めて会う人も多い。入ってくる人を見ながら、会議室でお茶の準備とかしていると、1人の男性が朝陽さんに声をかけてきた。
「よっ!神崎、久しぶり!」
「おぉ、津田!久しぶりだなぁ」
「これから1ヶ月間宜しくな」
この間言ってた、朝陽さんの同期の人だ。
「朝比奈、ちょっと」
朝陽さんに呼ばれて、津田さんに初めて顔を合わせることになった。
「初めまして、津田です」
「朝比奈です。宜しくお願いします」
あれっ?この人どこかで会ったような・・・
「・・・津田、先生?」
「・・・んっ?えっ!もしかして、あの、実習の時の朝比奈か?まだ高校生だった・・・」
「はい!そうです!やっぱり津田先生でしたか!」
「2人、知り合いなの?」
「あぁ、教育実習で受け持ったんだ。まさか一緒の会社にいるなんて、気づかなかったなぁ。びっくりしたよ」
「私もです。神崎さんから、同期だってお話は聞きましたけど、まさか津田先生だったなんて」
「あの頃も一際可愛かったけど、こんなに可愛くなるなんてな」
「冗談やめてください。先生、実習生の中で人気者だったけど、相変わらずかっこいいですね」
「朝比奈、先生はやめろ。もう先生じゃないから」
懐かしく話していると、会議の時間が来た。
「またね、朝比奈」
「はい!」
私が振り向いて、朝陽さんを見ると、じっと見ていた目をそらして席につき、会議の資料に目を通していた。
怒ってる?
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