雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
今日は金曜日。
晩ご飯、何にしようかなぁと考えていると、長井さんに呼ばれた。
「今年初めてになるんだが、若手のコミュニケーションも深めようということで、『3期会』という、この3年で入社した従業員を集めて、懇親会をすることになった。それで、2週間後、夕方から開催するから、朝比奈もそのつもりでいてくれ」
「わかりました。結構な人数になりますよね」
「そうだなぁ。まぁ、全国に散らばった同期にも会えるし、自分達の世代の従業員と繋がりを持てることはいいと思うからな」
「はい、楽しみです」

その夜、朝陽さんとご飯を食べている時に、3期会のことを聞かれた。
「今日、長井さんから聞いたけど、3期会に美咲も参加するからって」
「そうなんです。ちょうと3年目ですから。朝陽さん、2週間後の金曜日は、何時になるか分からないから、終わったら家に帰りますね」
「俺、車で迎えに行くよ。心配だから」
「大丈夫ですよ。迷子になることないし」
「そういうことじゃないよ。美咲はもう少し、自分を知った方がいいよ」
「心配しないでください。成長してますから」
「・・・そういう自覚の無さが心配なんだよ。とにかく、迎えに行くから必ず終わったら連絡しろよ」
「はい、じゃあ、連絡しますね」
もっとしっかりしないと。
朝陽さんに心配ばかりかけてる。

3期会の当日、朝陽さんは直行で外出していて、夕方に帰ってくるからと、顔を合わすことが無かった。

開催されるホテルの入り口に着き、会場となる部屋へ足を進めた。
すると、朝陽さんからメールが入った。
『今日、終わる時間には車で迎えに行くから、連絡して』
改めて朝陽さんに愛されてるって感じるこの幸せ・・・
『はい、終わったら連絡しますね』
私はにやけた顔を元に戻して、入り口へと向かった。
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