雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
入り口には、総務部の人達が受け付けをしていた。
「お疲れ様です」
「朝比奈さん、お疲れ様です。この名札付けて、入ってくださいね」
渡された名札には、部署と名前と入社年が書かれていた。

中に入ると、各支社の人達が集まっていた。高い天井には、煌びやかに光るシャンデリア、床は落ち着いた絨毯が敷き詰められ、料理の準備も進んでいた。
立食のため、椅子は部屋の隅に置かれている。
「朝比奈か?」
声をかけてくれたのは、同期で大阪支社に行った、坂田くんだった。
「坂田くん、久しぶり!」
坂田くんは、大学まで野球をしていて、キャッチャーをしていたらしく、体格が良く、笑うと目がなくなって、凄く愛嬌がある。
「朝比奈、大人っぽくなったぁ」
「そう?ありがとう!」
「あれっ?水森と一緒じゃないの?」
「うん、水森くんは・・・あっ、あっちにいるよ」
水森くんは、松草さんとじゃれ合うように、くっついて一緒にいた。
あの後も2人はずっと付き合っていた。
「へぇー、俺、水森は朝比奈のこと好きかと思ってたけどなぁ」
「そんなことないわよ。坂田くん、他の皆も来てるの?」
「あぁ、あっちにいるよ。朝比奈を待ってたから。行こう!」
坂田くんに連れられて、同期の皆に久々に会うことになった。
「朝比奈、元気そうだな」
「また可愛くなってるな」
「皆、久々に会えて嬉しい!」
喜んでいるうちに、会が始まった。

料理が運ばれ、各期代表の挨拶があり、私達の代表で坂田くんが挨拶をした。
「僕達の代は、皆、仲が良く、研修期間はとても楽しかったです」
坂田くんがこっちを向いて笑顔を向けた。
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