雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
「離れて仕事をしていても、やはり同期っていうのは心の支えになり、今回、久々に会えて嬉しいです。それから・・・」
坂田くんの挨拶は、今までに経験したことなどの話をして、笑い声も湧き、さすが私達同期のリーダー的存在だった人だと改めて思った。
「では、皆さん、食事を楽しみながら、ご歓談ください」
進行役の言葉を合図に、それぞれ、皆、挨拶に回っていたけど、結局同期会みたいになった。
水森くんはずっと松草さんといたけど、その他の同期は集まって話をした。
「なぁ、朝比奈って、津田さんの実習の時の教え子だったんだろ?」
そう声をかけて来たのは、九州支社に配属された近藤くんだった。
「そ、そうなのよ。津田さんに聞いたの?」
「うん、俺、津田さんと一緒のチームでさ。この間、一緒に外出した時、津田さんに『俺の教え子だから、手を出したら、許さないからな』って、笑いながら言われてさ」
津田さんの姿が想像できる。
「でもその後、俺が冗談で、『朝比奈可愛かったから、久々に会って、どうなるかわかりませんよ』って言ったら、凄い形相で『冗談でも許さないからな』って、真剣に怒られたよ。津田さんの怒った顔、初めて見た。先生、怖っ!」
津田さんにまで、心配かけちゃってる・・・
「研修で知り合ってから、俺達も逞しくなったよなぁ、俺なんかさぁ・・・」
その坂田くんの言葉から、近藤くんと他の皆も、営業のハプニングや、研修の時のことを思い出したりと、あっという間に時間が経っていった。
皆、お酒も入り、とても楽しそうだ。
「朝比奈、飲まないの?」
近藤くんに声をかけられたけど、
「私、一度ビールを飲んだことがあったけど、それから飲めなくて・・・」
「せっかくだし、これ甘くて美味しいよ。朝比奈はそう遠くないんだから、ちょっとくらい大丈夫だろ」
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