雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
私は朝陽さんを見つめて、嫉妬で涙が浮かんできた。
「どきどきもしないで下さい!」
力一杯、そのまま抱きついた。
「嘘だよ。そんなわけないだろ?でも、美咲に嫉妬して貰えるの、嬉しい」
「朝陽さんは私と付き合ってるから、取らないでって言いそうでした」
朝陽さんが本を置いて、私を体から離した。
「そんな顔するなよ。これ以上ないってくらい美咲のこと愛してる俺に、どうしろっていうわけ?」
朝陽さんに抱きしめられるのは、私だけの特権。
朝陽さんの胸に顔を埋めて抱きついた。
「どんだけ可愛いんだよ」
抱きしめられながら頭を撫でられて、少し安心した。
会社の外でも会社でも朝陽さんを独占したい。
その気持ちが益々大きくなってきた。

毎年12月の始め頃に行われる、営業部での忘年会。
今年は幹事をすることになった。
朝陽さんの横に座りたかったのに・・・
でも仕方ない。
入り口側に座って、切り盛りしていた。
段々とお酒も入り、みんなバラバラに座りだした。
「ねぇ、神崎さんの所に行こうよ」
近くに座っていた女性社員達は、朝陽さんの所に行った。
職場だから仕方ない。
そう思っていても、間に挟まれて、話している朝陽さんを見ると、嫉妬で平常心ではいられなくなる。
「私、少し席外しますね」
ちょっと落ち着かないと。
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