雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
【嫉妬は愛の深さから】
最近、朝陽さんは忙しくなり、自分の担当以外の人のエリアの助言もしている。
「神崎さん、この客先の資料、神崎さんに確認してもらってと長井さんに言われまして。確認宜しいですか?」
「どれ?あぁ、聞いてたからいいよ。いつまで?」
「明後日までって聞いてます」
「わかった。確認したら持って行くよ」
資料を持って来た営業部の女性社員に、朝陽さんが微笑むと、その人ははにかんだ顔で席に戻って行った。
最近、他の女性社員が朝陽さんに確認することが多くなったけど、戻って行く時の嬉しそうな顔が、普通に会話しているだけなのに、もやもやする・・・

数日後の週末、給茶室に行くと、女性社員の話声が聞こえた。
「ねぇ、最近、神崎さん、丸くなったと思わない?」
「そうだよね、それに笑顔も増えたし、かっこいいとは思ってたけど、書類返された時、『ありがとう』って言われて微笑まれたら、胸がきゅんとする」
「だよね。本当はあんなに優しいなんて、私、今度告白してみようかな」
「あぁー、抜け駆けは許さないわよ」
その会話を聞いた私は、嫉妬でもやもやした。

「朝陽さん」
「んっ?何?」
私は朝陽さんがベッドで本を読んでいる時に抱きついた。
「美咲・・・さっき、あれだけ愛したのに。愛し足りなかった?」
「今日、他の女性社員の人達が、朝陽さんの事、話してました。告白しようかなって」
「うーん、そう言えば最近、やたら話かけられるような・・・」
「優しくしないでとは言わないです。でも、他の人を好きにはならないでください」
「どうしよっかなぁ・・・俺好みなら、どきどきするかも」
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