天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 レースの靴下に黒いピカピカの靴まで履かされている。たぶん、かなりの重要人物が屋敷を訪れるのだろう。

「――パパ! ミリィ、お客様って聞いてないよ!」

 本気で怒っているわけではないが、とりあえず玄関ホールのところで出会ったジェラルドに文句を言ってみる。

 だが、ジェラルドはそれにはかまうことなく、ミリエラをひょいと抱え上げた。いきなり抱き上げられて、声があがる。

「うわああああ!」

「嫌だったかな?」

「ううん、びっくりしただけ。抱っこなら抱っこって先に言って!」

「わかった。次からはそうするよ」

 うんとうなずいておいて、ジェラルドの頬にぐりぐりと自分の頬を押しつけた。

「侯爵様、今日は誰が来るんだ?」

 こちらも白いシャツ、茶色のズボンに、同じ色の上着、といつもの気楽な格好から盛装に着替えさせられたカークが文句たらたらやってくる。

 シャツのボタンを一番上まで留められたのが気になるらしく、しきりに襟ぐりに指を差し入れて喉から離そうとしていた。

「ふたりも、今日はいい子に頼むよ。今日、王家の方が、急にいらっしゃることになったんだ」

「おーぞく!」

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