天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 花弁と思われる部分も、クレヨンを重ね塗りしたり、細かく色を分けたりして、濃淡がきちんと描き分けられていた。

 どうすればよく見せることができるのか、その技法についてはわかっていても、形を整えるというところにはミリエラの才能は及ばなかったらしい。ミリエラの描いた絵を見ながら、簡略化したデザインに仕上げていく。

「これで、どうかな?」

「可愛い!」

 ミリエラが描いた細長い物体そのままではなく、全体的に丸みを持たせた。頭は大きく、三頭身。短い手足、ひらひらとした花弁。

(気に入ってくれるか心配だったが――よかった)

 ミリエラは思ってもみない行動に出るから、彼女が何を欲しがっているのか、よくわからないことも多い。

 それは、生まれてから五年の間彼女を放置し続けたジェラルドの責任ではあるが、そんな彼にも、ミリエラは寄り添ってくれる。本当に、彼女にはかなわない。

(まるで、姉のようだ――やはり、母子ということか)

 姉のようにジェラルドに接するのは、アウレリアもよくやっていた。彼女の方が年下だったくせに。

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