天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 隣の椅子からジェラルドの膝をポンポンと叩くと、そのまま彼の膝に移動させられた。

(今は別に、膝に座りたかったわけじゃないんだけど――まあ、いいか)

 こてん、とジェラルドの肩に頭を乗せてみる。

 気分ではないと思っていたが、こうして父の体温を感じるのは好きだ。愛されていると、実感できるから。

 ミリエラの髪を撫でながら、ジェラルドは言った。

「王宮からね、ミリエラと私に招待が来たんだよ」

「招待? お茶会?」

 貴族同士の付き合いは、お茶会くらいしか知らない。あとは、晩餐会だの舞踏会だのもあるはずだが、それらの招待はミリエラにはまだ早すぎる。

「そうだね。お茶会もあると思うよ。そうではなくて、陛下がミリエラに会いたいそうだ」

 思わずしかめっ面になった。国王と対面だなんて、ものすごく面倒なことになりそうな気がする。

「ミリィ、行くのやだ」

 それに、王都はかなり遠いではないか。長距離の移動をしている間、錬金術の勉強ができなくなるのも気が進まない。

「私もそう思うんだが、断るわけにもいかないんだよ。何しろ、陛下自らのご招待だからね」

 それでか、と納得する。
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