天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
「保冷布の収益は、莫大なものになっているだろう? それに君が再び表舞台に顔を出した。その結果、グローヴァー侯爵家に近づきたいと願う者も増えている」

 グローヴァー家の持つ錬金術師としての影響力と財力は無視することができない。グローヴァー家とつながりを持ちたいと願う者がいるのはジェラルドも十分承知していた。

「あなたもまだ若いし。ミリエラには母が必要だ――そう考える女性も、たくさんいるでしょうね」

「私には、アウレリア以外必要ありませんよ!」

 伯爵夫人の言葉には、思わず強い口調で返してしまった。

 たしかに、ミリエラには母が必要かもしれない。だが、アウレリア以外の女性と生涯を共にするつもりもない。

 今まで放置してしまった分、自分が母親の分まで愛してやるつもりだ。

「ええ、それもわかっているの。だから、気をつけなさいと言っているのよ。あなたは、貴族達の勢力争いには無縁で来たでしょう」

 今までは領地にこもったきりだったし、屋敷を訪れても誰も中に入れようとはしなかった。目の前にいる伯爵夫妻――ミリエラの祖父母でさえもだ。
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