天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
第三章 パパ、錬金術って楽しいですね!
(あれは、重症だわ……!)

 ジェラルドの仕事部屋に招かれた翌日。ミリエラはうんうん考え込んでいた。

 思っていた以上に重症だった。今でも彼の時間は止まっているらしい。

 思わず抱きしめて背中をポンポンと叩いたけれど、そんなことくらいではきっとジェラルドの悲しみを癒すことはできない。

(それより、オルゴールが壊れてしまった方が心配よね)

 壊れたオルゴールを茫然と見ていたジェラルドのことが心配だ。すっかり寂れ果てていた本館の様子も。

(あ……本館に客人すら入れてないみたいだし……やっぱり、心の傷は深いんだろうな)

 先日、本館を訪れた時。

 玄関ホールの家具もまたカバーがかけられていた。客人が来ることがあるならば、玄関ホールくらいは綺麗にしているはずだ。

(でも、きっと、寂しいと思うのよ……本館は、時が止まってしまったみたいだった)

 ニコラやオーランドから聞いた話によれば、ジェラルドはまだ二十六歳。

 閉じこもるには若すぎる。いや、前世の感覚から言えば、まだいくらでも未来を切り開ける年齢でもあるわけだ。

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