天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 ジェラルドのペースに合わせるのは必須だけれど、あのまま不幸のどん底に沈み込ませておくわけにはいかない。

 エリアスやカークに知恵を借りるために、ある程度自分でも先に考えをまとめておこう。絵を描くためのスケッチブックを、引き出しから取り出す。

「もう、嫌になっちゃうなぁ!」

 鉛筆を握って書こうとしても、子供の手では上手に書くことができない。もっと早く、もっと綺麗に書ければいいのに。

 スケッチブックの白いページを開き、「パパと仲良くなるぞ」と書いた時だった。玄関ホールのあたりが騒がしくなった。

 一体、何があったというのだろうか。

「――エリアス、出てきて」

 名前を呼べば、精霊王が姿を見せる。

 エリアスは今日も、真っ白な毛並みが美しかった。とん、とミリエラの前に立ったエリアスは、首を傾けて問いかける。

「どうした?」

「下が、騒がしいの。ミリィ、出て行っても大丈夫かな?」

 勝手に出て行って、ニコラ達に迷惑をかけるようなことになったら困る。問題はなさそうだが、と言いながらも、エリアスが階下の様子をうかがいに行きかけた時のことだった。

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