惚れ薬を飲んだせっかち男爵はとにかく今すぐ結婚したい
「そうか、俺が抱き潰してしまったから起き上がれないんだったな・・・」

「・・・!!」

 その言葉に、カッと顔が熱くなる・・・が、認めるしかない。確かにその通りだと・・・。

「なら、俺が自分でやるしか無いか・・・」

 ・・・いや、だから・・・何を・・・?
 この人さっきから一体何を言ってるの・・・?

 ルーカスは水桶をひとつ掴んで持ち上げ・・・

 バッシャアアア!!!!

 ルーカスはそのまま自分の頭の上から水を思いっきりぶちまけた。

「!!!?」

 え、なになに!?何が始まったの!?

 一気に頭の先から足の先まで水浸しになったルーカスは濡れた髪を掻き上げ、顔の水を腕で拭った。
 髪の先から水が滴り、濡れた体はさらに色気を演出し、その動作に思わず見蕩れてしまう・・・が、その前の行動の意図が分からず、私の頭は更に混乱した。

「エリーゼ、愛している」

 そう囁いたルーカスはめちゃくちゃ良い笑顔を私に向けているが、私は一体いまどんな顔で彼の事を見ているのだろうか・・・自分でもちょっとよく分からない。

「どうだ?俺のエリーゼへの愛は伝わったか?」

「えっと・・・」

 ちょっと誰かに聞きたい。
 突然、水を被って愛を囁かれて・・・愛は伝わったか?と聞かれた場合、どう答えるのが正解なのか・・・。
 ロマンス小説でもそんな描写は見たことがない・・・。

 ルーカスは私が何も言えずに固まっている姿を見て、更に水桶をもう1つ持ち上げ、バシャァッと再び頭から被った。

「エリーゼ、愛しているよ」

 そう言って微笑むルーカスは、やはり良い笑顔だ。
 だけどルーカスの足元は水溜まりが出来上がり、周りは水浸し。高級そうな絨毯もビショビショだ・・・。
 なのにルーカスは再び次の桶へと手を伸ばした。

「うん!!伝わった!!すごく、伝わってきたよ!!ルーカスの愛は本物だネ!!!!」

 私は精一杯の笑顔を作り、ルーカスに叫ぶと、ルーカスはようやく満足した様に、これでもかというくらいに弾けた笑顔を私に向けた。

「そうか!俺の愛を再確認する事が出来た様だな」

 ルーカスはそう言うと、私を抱き寄せギュッと力強く抱きしめた。

 ・・・やっぱりルーカスってちょっと変わってるわね。

 その事を再確認した私は深く考える事をやめた。

 その後、びしょ濡れのルーカスと一緒に湯浴みすることになった私は、途中から記憶が途切れ・・・。

 再び目覚めた私は、やはりルーカスの腕の中にいるのだった・・・。
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