惚れ薬を飲んだせっかち男爵はとにかく今すぐ結婚したい
「昨日は母さんの家に泊まったんだ。首都には今から行こうと思っている」

 ルーカスはもともと首都に住む貴族の家の子だった。
 しかし、まだ幼い頃に父親が事業で失敗し、多額の借金を負ったまま逃げるようにその消息を絶った。

 ルーカスの母親は、借金返済のため全ての財産を手放し、幼いルーカスを連れて自分が生まれ育った村へと出戻ってきたのだった。 

 ルーカスが首都に移り住んでからも、彼の母親は住み慣れた村で穏やかな日々を過ごしている。
 その家に昨日泊まったのであれば、こんな朝早くにここに居ることは納得出来る。

「出来ることならエリーゼも首都に連れて行きたいんだが・・・」

 ルーカスは腕を組みながら、私の方をチラ見している。

 行くだけで話が済むのならいいけど・・・
 なんかそのまま教会に直行されそうな気がするんですけど・・・?
 一緒に行ったら最後、自宅に戻って来れなくなる気がする・・・今のルーカスと一緒に行くのはちょっと危険だわ・・・

「私は遠慮しとくわ」

「・・・そうか。分かった」

 ルーカスと首都へ行く・・・魅力的な提案だけど・・・!!
 行きたかったなぁ・・・首都デートとか・・・いいなぁ・・・!!

 頭の中で2人が仲良く首都を歩き回る光景を描いて少しだけ後悔してきた・・・が、目の前で変わらず立ち続けているルーカスの存在で、意識は現実に戻った

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