愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜



 キッチンに立ち朝食を作り始めて30分程経った頃、寝室でドタバタと音が。
 そしてその直後に寝室の扉が派手に開き、ユキが飛び出してきた。



「はるかっ!!」
「わっ! ……どうしたのユキ、おはよう」
「……いた」
「そりゃあ居るわよ。私の家だもの」
「……あはは、そうだよね」 



 寝癖がついた髪を掻き、頰を赤くするユキ。この子……。



「大丈夫よ、いなくなったりしないから」
「……」
「それにユキも、もういなくなろうとなんてしない」
「春香」



 気遣い、安心させるような言葉を遮るように、ユキは私との距離を詰めてきた。
 私の頭の後ろを掴み、強引に胸に抱き込む。そして私の肩に顔を埋めると、額をぐりぐりと押し付けてきた。



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