愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜



 私が目をそらさずにまっすぐ言い切ると、秀人は私から視線を外した。
 私のブーツのつま先を見つめながら、秀人は小さく息を吐く。


 そしてゆっくりと立ち上がり、鞄を持つと、私を見下ろした。



「お前が、好きだった」
「……」
「春香と過ごした日々は、幸せだったよ」
「……私も」
「────ありがとう。またな」



 秀人は最後にゆっくりと口角を上げ、私の頭を一撫でする。


 初めて秀人と出会った日、結婚式の二次会で酔っ払いから私を守ってくれたこの人は、あの時もぎこちない手つきで私の頭を撫でてくれた。


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