酔いしれる情緒
「待ってて、絶対叶えるから。」
「はあ……」
なんでそんな真剣な顔をするんだ。
あの約束は、冗談で言ったものでしょ?
主役なんて、俳優しかなれないの分かってる?
(ただの一般人がなれるわけ……)
瞬間
(…………ぁ、れ?)
心に、モヤッ…と広がる不思議な感覚。
(いや、まさか………)
ありえない。
そんな事、絶対、ありえないって。
「どうかした?」
さっきの表情と違って爽やかな笑み。
その笑みが
(やっぱりコイツ…あの人に似てる)
それは
お酒を片手に映る、あのCMの若い男の人。
駅前の大きな画面で女子高生が黄色い歓声をあげて見ていた、あの人に────
(……ついに私の目もおかしくなったか)
春に出会ってから
身体はもちろん、
目も頭もおかしくなったらしい。
なんの取り柄もない一般人の私が、芸能人になんて出会えるわけないじゃないか。