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「お前、怪我とかはしてねーな?」
心音さんと変わって、蒼空さんが隣にやってくる。
「え?…あ、うん、してない。」
…そうか、私川に落ちたんだっけ。チラリと暖かい飲み物を飲みながら、私の横に立つ蒼空さんを見た。
私、あの時この人に助けられたのか。
「……なんだよ?」
「…いや……何も。」
”ありがとう”そうお礼を言わなくちゃいけない。だけど蒼空さんに言う事が凄く照れくさい。
「じゃあ見つめんな」
「見つめてないし。自意識やめてよね」
「あんま調子に乗るとしらねーぞお前」
「はいはい、すみませんでした~」
「………………」
「イタッ」
ビシッ、と。私の額にデコピンした蒼空さん。何故かいつもより対応が優しい感じがする。
そんな彼は私が横たわるソファーにもたれ掛かるように座って、近くにあるテーブルの上に置かれた書類を手に取った。
「見つかんねーなー」
「やっぱり魚に食べられたのかも」
「………いや、浅瀬に魚はいなかったしそれはない」
「じゃあどこに…ヘブシッ!!」
ブルッと寒気がして身体が震えた。突然のクシャミに「口抑えろよチビ」なんて振り向く蒼空さん。