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「クッソ…コイツ後で覚えてろよ…!」




意識が無い月姫を、蒼空がお姫様抱っこで抱え込む。髪の毛までビショビショに濡れていて、お互いポタポタと水が滴り落ちていた。




「お待たせ~!……って、えぇ!?どうしたのよ!!」

「見てわかんだろ!!」




そんな蒼空と月姫にタイミング良く現れたのは、チャイナ服を身につけた心音で、


ビショビショな二人の姿に驚きを隠しきれていない。




「なに!?うそ、え!?」

「いいから!!事務所に戻ってストーブの温度を最大にしてこい!今すぐにだ!!」

「わ、わ、分かったわ!!」




心音は蒼空に言われた通り、手に持っていた派手な扇子を仕舞うと、焦った様子で事務所へと向かう。




「コイツ自分の身長ぐらい自覚しろよな…」




意識が戻らない月姫を見つめて、一瞬不安な表情を浮かべた蒼空。コイツの行動には毎回驚かされる事ばかりだ。


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