月夜に笑った悪魔 ハロウィン特別編
「へぇ?」
「残念だったね」
余裕そうな彼だけど、いつまでその顔ができるのか。
私は暁の緩められたネクタイに手をかけて、しゅるりとはずしていく。
それをはずしたあとは、「両手出して」と彼に言って。
暁が両手を出せば、その手首をネクタイで縛った。
もちろん痛くないように緩めではあるけれど。
とりあえず、これで手は封印。
少しの間だけでも私が攻めることはできるだろう。
「こーいう趣味あった?」
縛られた暁は、私を見て笑っている。
縛られてもまだ余裕だとは。
「大人しくして」
私はそっと彼に近づいて、唇に触れるだけのキスをひとつ。