きらめきテレスコープ
「…って、そんで水槽のメダカをうちの妹がさぁ…!」

 ふと煌野を見る。
 表情はほとんど変わらないように見えた。

「…煌野、つまんない…?」

 俺は不安になる。

「…なんで…?」

「あの、いや、俺の話ばっかで、つまんないなら悪いからさ…」

「…ううん、楽しい…。布施くん、私に色々話してくれる…」

 楽しいとは言ってくれているけれど、煌野の表情はやっぱりあまり変わらない。

「ごめん、俺ばっかりしゃべって…。その、煌野も聞かれたくないことがたくさんあるだろうし…聞いてもいいのか…」

「…布施くんの話は好き…。私の話は…嫌われると思うから…」

 そう、煌野は自分のことを全くしゃべらない。
 たぶんクラスのやつも他の周りのやつも、多分何も知らないはずだ。

「そっか…無理には聞かない。煌野がしゃべりたかったら俺に聞かせて?俺はまあ、煌野が聞いてて嫌じゃないなら、煌野にしゃべりたいだけだからさ」


 結局、俺は外が暗くなる間際まで煌野に一方的に話をして、煌野は微かに頷きながら聞くという、俺から誘ったのにどう考えても煌野に悪いことをして、その日は別れることになった。
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