きらめきテレスコープ
「ほんとに、家の近くまで送らなくていいのか?」

「平気…今日はありがとう布施くん、さよなら…」

 夕方の早い頃の月に照らされて見える煌野は、なぜか輝いて見えた。
 そして、

「あ、うん。また明日!」

 そう言って俺の家の方を見てからまた振り返ると、もう煌野はいなかった。


 次の日も、用事はないと言った煌野を周りにバレないよう誘い、うちの近くの公園まで来た。

「ほんとはもっと、カフェとか行きたいんだけど金無くて…ごめん」

「平気。私、他に人いない方がいい…。それに布施くんの話、楽しいから…」

「あ、じゃあさ、しゃべるばっかりじゃなくて、今度なんかして遊ぶか。その…人少ないとこでさ」

「え…」

 煌野は困った顔をした。

「あ…嫌、かな…?ご、ごめん…俺がしゃべってばっかりだから、せっかくだから煌野が一緒にできる事が、とか…」

「…私、出来るかな…?」

「いいの!?…俺、考えておくよ!煌野が好きになりそうなの、見つけとく!」

「あ…ありがとう…」

 煌野がなんか少しだけ、笑ったような気がした。
< 5 / 17 >

この作品をシェア

pagetop